写経のひそかなブーム
コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えた時期に写経がブームになっていました。不安やストレスが溜まった人たちが写経で心が穏やかになれるということで注目されました。
私は写経には興味がありましたが、流行っているとは知りませんでした。コロナ禍が落ち着き、何かストレス解消になることはないかと探していて、雑誌で写経の特集を読んでやってみようと思いました。
般若心経とは
写経は、仏教の発祥の地・インドで、お釈迦様の教えを広めるために始まりました。日本では673年より写経が始まったと言われています。
写経では、「般若心経」というお経を書き写すことが多いです。文字数が300字程度と短く、少しの時間で書き終えられるため、初心者でも取り組みやすいためです。般若心経には、あらゆるものごとにとらわれ苦しむ人々を救うための仏教の大切な教えが記されています。
写経の効果
書く瞑想
写経は集中して丁寧に書き写していくことで、心が穏やかな状態を得ることができます。
マインドフルネスという言葉が知られるようになっていますが、今ここにただ集中している心のあり方で、主に瞑想を用います。
般若心経を写経することは、書く瞑想となりマインドフルネスに導いてくれます。
そういった状態になった時に脳ではβ-エンドルフィンという脳内物質が分泌され、鎮痛効果や幸福感が得られる作用があります。
この脳内物質はストレスの軽減に役立ち、免疫力を高めることにもつながります。
集中力の向上
写経は丁寧に書くと1時間以上かかります。途中で雑念が入って集中できないこともあります。そこを超えるとただ何も考えずに、字を写すということに集中できるようになっていきます。
そして写経をくり返すことにより、雑念に捕らわれることなく自然に集中できるようになるでしょう。
字が上手くなる
写経は文字を書く練習にもなります。お手本として使われることが多い般若心経の文字の中には、書道の基本的な技法が含まれています。一文字ずつ丁寧に書き続けると、書き方に意識が向き、普段の文字の書き方にも良い影響を与えてくれます。
龍雲寺での写経に挑戦してみました
世田谷区野沢にある龍雲寺では毎月第2土曜日に写経会をやっています。納経料は500円です。
初参加の人は予約が必要で、すぐに予約が埋まってしまうので早めに予約しておく必要があります。
お寺に入って本堂の右側の建物の入口から上がり、本堂の中に入ります。
係の人が声をかけてくれ、道具や墨のすり方など丁寧に説明してくれます。
席は座布団席とテーブル席があります。
自分の願い事を最初に決めてから書くように言われて、願い事四文字熟語一覧を見せてくれました。
紙に薄く書かれた般若心経をなぞっていきます。筆の扱いに慣れていないため、字が薄くなったり、濃くなったりとなかなか綺麗に仕上げるのは難しかったです。
14時半からはお坊さんと一緒に配られた経本を見ながら般若心経を唱えます。漢字にふりがなが振ってあるので安心です。
終わると黙々と写経を再開します。私は1時間ぐらいかけて般若心経を書き終えました。最後に行頭に「為」と書かれた下に自分の願いの四文字熟語を書きます。
願い事を四文字熟語ではなく、日本語の口語体・話し方口調で書く時は、行頭の「為」は不要で、
「○○しますように」とか「○○のために」とか書けば良いみたいです。
道具を片付けて、納経料を払い納経します。
毛筆で書くのに苦労しましたが、1時間集中することでスッキリした気持ちになりました。
感想まとめ
写経により何も考えず意識を1つのことだけに向けることで、もやもやした気持ちがスッキリして良い気分転換になりました。忙しくてちょっと頭をリセットしたい人は、写経に挑戦してみるてはいかがでしょうか。
イラスト りつこ